OHTAKI'S MODERN CARTOON

訊ねられ人の巻

わたしはよく道を訊かれるのです。
勝手知ったる町で聞かれることもあれば、慣れない場所で聞かれることもある。
初めて歩く町で法事の格好をした女性に「●●寺はどこですか」とかマニアックなことを聞かれることなんかざらです。

ちゃんと教えてあげられることもあるし、うっかり間違えた道を教えたこともある。どっちかっていうと、こっちがききたいこともある。

なんなんでしょうかね。
わたしが迷子になったとき、道を聞くのはいかにもその場所の人っぽい、ばあさんですとか、古くから営業してそうなお店のおじさんとかです。つまり、道を知ってそうな人ですね。

わたしはそこの場所のばあさんとかお店のおじさんのように、道を知ってそうに見えるのでしょうか。

世田谷のはずれの裏通りをボーと歩いているわたし。
六本木のどまんなかを適当に歩いているわたし。
目黒の閑散とした住宅街をモーローと歩いているわたし。
銀座の三越前をこじゃれて歩いているわたし。
多摩川のほとりをだらだら歩いているわたし。
恵比寿と広尾の間をなんとなく歩いているわたし。
奈良の公園をじつはこっちも迷子になって歩いているわたし。
横浜の地下街をてろてろ歩いているわたし。
本牧あたりをさくさく歩いているわたし。

などなどなど。
これらの場所で道を訊かれているわたしはその場所の人だと思われているというのでしょうか。わかりません。道を教えてくれそうな優しい人に見えている可能性もありますが、ホホホホホ。マー、そんなことはわたしに限ってないと思います。

先日行った台湾の陽明山で台北あたりからドライブにやってきた娘さんに道を聞かれてしまいました。台湾語なのか北京語なのかもようわからんのに道を聞かれていることだけはよくわかる。
「ソーリー、アイアムジャパニーズ」
わたしは英語もからきしなのでナンの工夫もないこんなことしか言えません。娘さんたち、道もわからず、言葉も通じず。聞き損でゴメン。

しかしまあ、どこの国でも道を聞くニュアンスは同じです。
わたしの顔つきがとりたてて台湾の人っぽいわけではないし、なんでわたしに訊こうと思ったのか、それを教えて欲しかった。

暇そうなんですかね?でもわたしは早足ですし、キャッチセールスや宗教系のひとから声をかけられたことはありません。まあキャッチは若くないからだと思いますが。

暇そうなわけでもないし、親切オーラが出ているわけでもない。はて。

つい先日も、集合場所がわからなくなってせっぱ詰まった修学旅行らしき女子中学生に道を訊かれました。道を教えて、ついでに、なんでわたしに訊こうと思ったのかを教えて貰おうとしたのですが、一刻の猶予も無いというその気迫に、聞きそびれてしまいました。竜巻のように遠ざかるむすめ。ううん、惜しいことをした。
こんど道を訊かれたら、消える前にすかさず質問したいと思います。
 

tulipa@mamioh.com *MAMI OHTAKI*

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