OHTAKI'S MODERN CARTOON

トントンってやるってこと?の巻

父が動脈瘤の手術をいたしまして、まあ、万が一ということもあるというので手術前日と当日、病院に付き添いましたんです。 

前日の説明で、看護婦さんが言うんです。
「手術後、翌日には上半身を起こして貰います」
えええっ!説明を聞いていた父当人、母、兄、わたし、全員たまげましたね。だって腹開けてるんですよ?
「1週間内には立ち上がって歩いて貰います」
うっそお。

動脈というのは背骨の手前、内臓の奥にあるんだそうです。
ですんで、その問題の瘤を取り除くには、おなかを開けて中身をよっこらしょとそこらに出すなり横に避けるなりしないといけない。ほっほう。
それでまあ手術いたしまして、なるべく元通りに中身を戻しますわねえ。

昔は術後は絶対安静にとされていたんだそうですよ。ところが長年定位置に納まっていた内臓一式が一回出されたことで変な具合に入っちゃって収まりが悪い。悪いことになると腸閉塞を起こしてまた開けることになったりする。
それでどうしたらいいかをお医者様たちが考えたらしいんです。進歩する医学っていうんでしょうか。

人は基本的に身体が起きておりますわね。
長年、内臓はそういう「起きてる」状態に慣れているわけですよ。いきなり出されて戻したからって横にされてちゃ内臓としても納得いきませんよ。
そういうわけで患者を歩かせることによって内臓たちが自分の覚えている心地の良い収まり方に落ちつくようにしてやろうじゃないかと、内臓の自主性を尊重しようじゃないかと、そういうことになったらしいですよ。
ほほー。

それを聞いたカドカワのアライちゃん。
「トントンってやるってこと?」
ビーズやなんかをビンから一回出しちゃうと絶対元通りには入りませんが、トントンっとやるとあらふしぎ、元のように全部綺麗に入りますわな。
アライちゃんの中では一回中身を出された父が胴体を持たれてトントンとされているようでした。まあそういうことだね。

父は、自力でトントン歩いた結果、つつがなく内臓を定位置に納めることに成功し、先日退院いたしました。

tulipa@mamioh.com *MAMI OHTAKI*

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