最近、散歩をしていて、しみじみ思うんです。
男の人のカジュアルって、どうやってもトレーナーなのよな。
それはもうがっくりするくらいトレーナーなのよな。
彼らの恋人、そして奥さんがたはそれでいいのかね、えっ、いいんですかい?
わたしはね、愛する男にトレーナーだけは着てほしくないですよ。
昔、ボーイフレンドのくつろぎ着用にとうっかりトレーナーを買ってしまい、絶望的に後悔したのが思い出されます。
やさしい男だったので無抵抗に着てくれたものの、いつもさりげなくお洒落な彼の容色が、トレーナーを着用した瞬間、がくうーんと落ちてしまったですよ。しかも。トレーナー姿のおのが姿にショックを受けてか、彼が一気にお洒落というものに投げ遣りになってしまい、どんどんくすんだ男になっていったんでありますよ。あれはじつに辛かったなあ。おそるべしトレーナーマジック。わたしはトレーナーを憎む。
トレーナーっていうのは、本当に誰が着てもかっちわるい。
魔法のようにかっち悪くなる。呪いでもかかっているんじゃなかろうか。
そのかっちわるさは、例えば英国のチャールズ王子が着てもかっちわるいだろうし、ジャニーズの滝沢くんが着ても、前平さん37才(友達)が着ても、同じようにかっちわるい。そういう恐ろしいかっちわるさだ。
だれが着てもおなじようにかっちわるくなる。
それはね、それは、実にすごいことですよ。
ほかにそんな服があるだろうか。
例えば野球選手がオフの時によく着ている派手な編み込みのニット。あれはどうだろう。あれもかなりのものだけど、木村拓哉に着て貰えば案外着こなしてしまいそうな気がする。そりゃあけしてうっとりするほど格好よくはないかもしれないけれど、あのニットを着た沢江さん45才(友達)よりは格好いいに違いない。けれどもあのニットを着たジャック・ニコルスンよりは劣るかもしれない。
つまり、かっちわるさに差がでてしまうのだね。
しかし、トレーナーは違うよ。
木村拓哉も前平さん37才(友達)もチャールズ王子も沢江さん45才(友達)もジャン・レノもヴィンセント・ギャロも市川雷蔵もラジニカーントも、まったく同じ。均等にかっちわるくしてしまう。
すごい、まったくすごい。うーん。「公平な服」と言えるかもしれないね。 |