家にいて、猫
のことを思い出していたら自分でたまげるくらいの泣き声を皮切りに泣きはじまってしまう。止められないまま猫の名前を呼びながらわあわあ泣きつついても
たってもいられなくなってなみだをぼたぼた垂らしながら家の中をゆらゆら歩きまわる自分にああもうなんだかなあ、と思った矢先、鏡が目に入る。 うひゃあ。 ひたいに血管が浮いてました。 こめかみにも浮いてました。 形相が変わっていました。 見慣れないこの発見になみだがとまる。 しげしげ血管をみて、指先で押さえてみたり。うわ、ほんとに血管だわ、漫画の表現によくこういうのあるけどほんとにこうなるのだなあとか思っていたらすっ かり泣きがとまっていて。 マヌケ。 この大マヌケ野郎。 事故で亡くなった中島らもさんが、生前もうほんとに死ぬつもりで遺書を書き、ビルの屋上から飛び降りるために部屋から出ようとした瞬間、「いぃしやぁ〜き いもぉ〜」窓の外に石焼き芋屋。あまりのマヌケさに死ぬ気が失せて、フトこれは神の救いなのではないかと思ったとかそういう内容の文章を残しておられた。 悲しくてどうしようもなくても、マヌケが起きる。 かなしみはつかのま紛れて、日常は続く。 救いってのはミモフタもない。 |