夏でしたな。
いまもまだ暑いっちゃ暑いですが、なんかもう麻のシャツやノースリーヴとかは気分じゃない。絽も紗も残念だけどもうお仕舞い。皮のスカートやジャケットやウール、スカート、コートにブーツなんかがわたしを待っています。まだまだ気持ちはサビシイけれども、そうも言ってられないどきどきした気分が心の奥で待ちかまえている。
秋ですなあ。
ことしの夏は本気で暑かった。一時は食欲がまったく出なくて西瓜ばかり食べてました。驚いたのはそれを人に話すとほとんどの人が
「でも西瓜は血液をさらさらにするから」
と言ったことです。あまりにみんなが言うので、面白くなって会う人会う人に「最近西瓜しか食べられなくて」と振るとほとんど100パーセントに近い確率で「でも血液がさらさらになるから」でした。
みんなどこからそんな情報を仕入れてくるんだろう。
100パーセントといえば、夏の終わりに散歩に行った湘南の海です。ビキニ率100パーセント。パッパッパッパ、パラッパッパッパパ♪「ビキニスタイルのお嬢さん」のイントロが頭の中で鳴り響きます。しかしみんなとても可愛らしい。健康的で全然エッチーじゃない。エッチなビキニは何処?
ところが。ひとり、ビキニを買ったものの勇気がなくて上から着たTシャツを股間までいっぱいいっぱいに伸ばしておられる娘さんがいまして。服を着てるような着てないような変なバランス。これが異常にエッチーで目立つ。エッチとははじらい。エッチとはちょっとした違和感。そんなことを思いながら湘南の夕暮れを堪能しました。
夏が終わっていきます。
軒下のあしながばちの巣がジワジワと大きくなり、毎朝それを見るのが日課なのですが、初めて知ったのは蜂の巣と蜂の関係です。巣、というのはおうちのことで、蜂たちはそこの中で休息するんだろうと思ってました。ていうか正確に言うと蜂がどうやって休息するかなんてたいして考えたこともなかったけど「巣」というからには中に入るんだろうと、まあそれくらいの認識で。
ところが。蜂たちは中に入らないんでがす。巣に止まってるんでがす。巣の中にいるのは幼虫とか蛹だけのようなんでがす。はたしてすべての蜂がそうなのか、足長蜂もエライのは中に入れるのか、そのへんはわかりませんが、何時見ても巣に止まって休憩中の足長蜂たちです。いちどすずめばちに襲われて巣を食い荒らされたのにまた同じ巣を修復して使っています。すずめばちが巣を食いちぎる音はクラコットを噛むときの音とそっくりでした。
夏が終わっていきます。
ことしも夏の着物をたくさん着ました。「涼しげ〜」と言われたら勝ちで「暑くない?」と言われたらちょっと痛恨で「暑そう・・・」と言われたら敗北です。おかげさまで敗北は無かったけれど痛恨は3回有りました。
「暑くない?」というのはまあ間違いじゃないけど、「暑くない?」と言うノースリーヴ姿のあなたも汗だくで顔がてかっている。ノースリーヴを着ていても結局は暑いわけで、だったら着物でもいいじゃん。汗を吸わせる為のもこもこした肌着を着るときはちょっとひるみますが着てしまえば普通に夏の暑さです。
ある程度を過ぎたら体感温度なんか一緒ですわい。
そういえば砕氷船「しらせ」で南極になんども行っている自衛隊のかたに
「南極はやっぱり寒いですか」と聞くと
「自分は青森うまれなんでそんなに感じない」とのことだったです。
ある程度を過ぎたら同じなんでしょうな。
しかし暑かったなあ。
でもこうして空を見るとあきらかにあの夏の毒々しい青ではなくて、そんなことがすこし悲しい。おセンチ野郎な秋のはじまりなのです。
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