OHTAKI'S MODERN CARTOON

ベリベリとガサガサの巻

映画を見ていると、激しくベリベリの音がすることがありませんか。

ベリベリっていうのはベルクロテープのことです。
あれはなかなか便利ですよね。スポーティなお洋服や機能的な鞄などはたいていベルクロで止めたり閉めたりする構造になっている。そしてそれを開閉するたびに「べりべりべり」と実に大きな音がする。

そう、あれは、なかなか大きな音がすんですよ。

映画館っていうのは特別な空間で、われわれはあそこでちょっとしたすてきな夢をみているんじゃないかと思うわけです。そこへ

べりべりべりべりべり。

目覚まし時計みたいなもんですわい。
しかもあの音はじつに無粋で安っぽい。げんなりします。目覚まし効果満点。

べりべりさんは、たぶん「夢」をみていたら思いがけず涙が出て、ハンケチかティッシュを出そうとしていたり、乾燥した空気にノドをやられて飴かガムかなんかを探そうとしていたりするのでしょう。

こっちのポケット。べりべりべりべり。
あっちのポケット。べりべりべりべり。

涙もろいんならハンカチくらい手に握っておいたらどうだ。えっ!?

たまに几帳面なべりべりさんが居て、ハンケチを「べりべりべり」出して涙を拭いて仕舞ってまた涙が出て「べりべりべりべり」出して拭いて仕舞ってまた出て「べりべりべりべりべり」

オーノー。

いや、「映画中にべりべりするな」とは言わないですが、もうちょっと状況を考えては貰えますまいか。もっと事前にべりべりさせておくか、音がわんわんいって目立たない箇所でべりべりさせておくことだって出来るはずです。

こないだ出会ったべりべりさんはナカナカにイイヒトで、シーーンと静まり返ったなか、べりべりを1ミリ単位で開いてました。すなわち「べりべりべり」ではなく「べ・・・り・・・べ・・・・・・・り・・・べ・・・り・・・・」と開いて下さったわけですね。

たぶん身も細る思いであったであろうと思います。
でも、あなたのその気持ちがわたしはうれしい。あなたには全国のべりべりさんの指導にあたってほしい。

そう、わたしは「べりべり」に怒っているわけではなくて、「べりべりはうるさいものだと思いもしないあなたのココロ」にむかっぱらなのです。

食べ物やら飲み物を持ち込んだかたのあのコンビニ袋というかポリエチレンの袋の「がさがさがさがさがさがさがさ」という貧乏たらしい音も怒り心頭です。
おなじく「いま、がさがさいわせるのは迷惑ではないか」と想像もしないその厚かましさに腹がたつわけです。静かに時間の流れる暗闇で「がさがさがさ」コンビニおにぎりを出して「べりべりべりべり」セロハンむいて「くちゃくちゃ」たべて「がさばりべべべごしゃ」ゴミをまるめる。

あの、わたし、泣いてもいいでしょうか。

神経質?どうもすいません。
世の中おおらかなひとばっかじゃねえんだよッツの。
 

tulipa@mamioh.com *MAMI OHTAKI*

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