OHTAKI'S MODERN CARTOON

めかしてゴー!ゴー!ゴー!の巻

わたしが30になった頃、年上の女性達が口々に言いました。
「あなたもそのうち、服に困るようになるわよ」
服に困る?なんのことだろう。

でも確かに35あたりから「なるほど!」と膝を叩く思いで。

わたしはまあ適度にオシャレが好きなほうです。「おおたきさんはオシャレだねえ」と言われることがなくもない、って程度といいますか。ブランドや流行にはあんまり関わらないものの、自分の好きな服を着て暮らしてきました。

ところがいつものように似合うつもりで選んだ服が、恐ろしいくらいにハッキリと似合わなくなってきたのですね。
うっかり買ったチープな服は、デンパな中年そのものです。あぶねー。デザインが若いと当然若作りに見え(イタタ)、シンプルなものはしょぼくれて見え(トホホ)、デザイナーものは文化人崩れみたいだ(ハズカシイ)。

わたしは、年相応のものやブランドをスムーズに着るにはたぶん我が強すぎたり、歴史が足りなかったりするのです。どないせいっちゅうねん。

困った挙げ句、わたしは「すかした中年女」として生きていくことにしました。派手すぎず若造りはせずかといって地味でもない質のいい物をナニゲに着る。まあ、面白味はないですけどね。「すかした中年女」だからしょうがないですわい。

ところがこれが本人が思う以上に「いけてない」。
「どうしたの妙に収まっちゃって」何人ものひとに言われました。似合わないわけじゃないんだけど、なんか違う。そんなことはわたしにだって判ってるんですが、いま、似合う服がないんだよっ。
ちょっとした痛恨の日々。すかした中年女の修行は続くよどこまでも。ふう。

そんなおり、大阪に用事ができまして。
ついでに大好きな通天閣に登ったり買い物したりしようと思いましたんです。

アメリカ村で知人の妹さんがオリジナル服のお店を開いておられるのですが、こちらの鞄が実に格好いいのですよ。アフリカンプリントのものも泥臭くない。外国で買付けてきたインテリア生地で出来た鞄はズバリ・カッチョいい。カッチリした作りで使いやすいのは勿論、ハードに愛用しています。新作のウッドチェーンのショルダーは絶対に買わなくては!

というわけでお店に伺って、店内を見回すと春の服が。

「オオタキさんこれ似合いますよ」店主のノリコさんがまっしろでちょっとシェイプされた形のコートを差し出してくれて、ひるみました。

ううむ。ままま、まっしろ。それはチト無理では?
ノリコさんの服は形はシンプルですが細かいところに気が効いていて、きれいなシルエットをしています。さらに生地の質感やプリントの選び方がイカス。結果的に、ちょっと、難しくみえるのですね。

でも目の前にいるノリコさんのオシャレ度とその自信に満ちたオススメ光線に誘われて袖を通しました。

あっ。

なんというんでしょうかなあ。ああ、こういう自分が居たんだなあ、というんでしょうか。いけてる。ハハハ。着るとその形の良さがぐっと前に出る服です。俄然やる気になって気になったものや薦められたものを片端から着て、シミジミと感じました。

たのしい・・・。
そしてそしてなによりも、「めかす」というこのヨロコビ。
「ナニゲに着る」なんて生温い服の選び方をしていた自分がアホウでした。そういうキャラクターじゃないんですわね、わたし。「わたし」は、「年を取ったわたし」をよく知らなかったようです。

たしかに昔好きだったような服はもう似合いません。でも同じ様な探し方をして「ここらで手をうつ」みたいに選んだ服だって、結局のトコロそんなに似合いはしない。新しいやり方をみつける時期が来たってことなんでしょう。
そしてそれは「トシヨリの着る服を探す」ってことじゃない。(ここだいじね)

時間は、経つ。
それは、本当にすばらしい、おもしろいことですなあ。
わたしは、いま、目の前のハンガーにかかっているノリコさんのまっしろいスプリングコートを着たくて着たくて、いらいらじれじれとイマイチ気温のあがらない3月を過ごしています。

 

ノリコさんのお店は「モンシュシュ」というかわいい名前です。
季節のDMはメグ・ホソキさんの手によるモンシュシュのお洋服を着た素敵なおんなのこたちです。キャー!
ああ、わたしは大阪行きの定期が欲しい。
tulipa@mamioh.com *MAMI OHTAKI*

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