朝、新橋駅からタクシーで朝日新聞社まで乗りました。
原稿を届けるためです。 その日は丁度築地でもうひとつ打ち合わせがあって、ついでなんで、いつもは宅急便で届ける原稿を自分便で届けてみようと思いついたのですね。 タクシーに乗って「朝日新聞社までお願いします」と言うとマスクを半分あごにずらしてかけた運転手さんが妙に高くて大きい声で「あさひしんぶんしゃ!?」と仰った。はい、そうです。
「社会はどうなってんですかね!」 びっくりしました。びっくりしたとしか言いようがないといいますか、まあなにしろたまげました。突然でっかい声で運転手さんがそう言ったのです。 「経済もね!どうなってんですかね!」 朝日新聞社に行くからこういう話題をふられたんでしょうか。サービストーク?
「そうねえ、どうなってんでしょうかねえ」
「アルカイダとフセインは接触してんでしょう!?」 そうなんですか?
「今回のアメリカのこともね、オイルがらみのね、アレだって週刊誌にね、書いてあったんですよ!!週刊誌にね!書いてあったの!」 すごいテンションです。うっかりちゃんとしたこと言おうもんなら、えんえん話しかけられそう。パーでよかったよかった。運転手さんはもうわたしの返事なんか必要としてはいません。どんどんハイトーンで語り続けます。
「田中真紀子もね!あのひと活動してんですかね!辻本清美もね!あのひと基本的にはよかったと思うの!でもね!あ、正面までいきますか?はい。でもね!なんであんなに金があったんでしょうかね!支援者多かったからですかね!」 タクシーは朝日新聞社の正面に中途半端に止まりました。 「はいおつり!いま領収書でますから!はいどうも!」 わたしは常日頃、自分がちょっとデンパっぽいことを気に病んでいましたが、まだまだぜんぜん平気だよなあとおもいながら朝日新聞社の立派な階段をあがりました。 黒い皮トレンチなんか着て颯爽としてたからやり手の社会部の記者かなんかに間違えられたんですかね。すいません、冗談です。
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