さむくなりましたね。コートの季節です。
きどってトレンチコートなんか着てでかけてます。
実はかなしいことにこのコート、なんだかイマイチ似合わない。
ああ、認めるのも悲しい。勇気のいる告白です。
でもこのコートを愛しているので、毎度毎度ちょっと唇を噛みつつ着用していたのでした。
先日のこと、トレンチコートの購入を検討している22歳の娘さんに、軽い気持ちで貸してみました。
ガッチョーン。
これがまたよく似合う。
衝撃の似合いようです。
わたくし、ひるみました。こんなに似合われると、持ち主としては立つ瀬がないでごんす。(By権助)
失意のまま、彼女のコート姿を見ながらシミジミ思いました。
ああ、わたしは、こんなふうにこのコートを着たかったんだなあ。
やや痩せ気味で愛らしい顔立ちの、今風の娘さん。
コートのベルトをきゅっと結んで佇む姿はすらりとしてフレッシュそのものです。
その夜、わたしはひとりになって鏡の前でコートを着てみました。
なるほどなあ。
肩幅も厚みもある筋肉質のわたしの体は、よく言えば立体的、悪く言えばガタイがいい。がっしりした肩にトレンチがグイと収まっています。
うーむ。
なんというんでしょうか、ドイツとかイギリスのおばちゃんの着こなしにさも似たり、というんでしょうか。まあそれはそれでなかなか格好のいいものですが、自分はそういうふうに着たいわけじゃなかった。
でも、わたしは、こんなふうにこのトレンチを着るしかないのだな。
自分はもっとパリジェンヌのように着たかったわけですよ。
でもわたしには、そういうふうには似合わない、と。
わたしは、理解しました。
無理なことは、ある。
わたしには可憐にトレンチコートを着る素養はないのだ。
しかーし。迫力ならある。
わたしはこれから、イギリスのおばちゃんのようにがっしりとこのコートを着ようじゃないか。まかせとけ!
若い人と一緒にいると諦めることが多くてとてもいいです。
引導を渡して貰える。
それは、ぐずぐずしていないで次のステップを歩いていけるってもんじゃありませんか。かなしくなんかはないです。むしろすがすがしい。
わたしは前よりもトレンチコートを頻繁に着ています。
肩でグイと着て、オラオラオラ!という気分で歩いています。
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